素直にさせないで




次の日の朝練で体育館で、タイマーを出していると

「あ、新川さんおはようございます。」

ふんわりと優しく微笑む湊が私を見つけて、いつもよりもその表情は柔らかく見えて勝手に嬉しく思い、
「湊、おは…」

「話しかけるなぁぁあっ!!!」
いいかける間もなく、不破(ばか)に後ろから羽交い締めされ口元を勢いよく塞がれ、

「コイツは昨日俺様の一生の女になったんだ!!気安く話しかけるな永遠に!!!」

窒息しそうなくらいの手のひらにもごもごと、暴れると、
「あ、はい。永遠に分かりました。」
ふっと湊は嬉しそうに微笑んだ。

「おう分かればいい!!何度生まれ変わっても俺様の女に勝手に手を出すんじゃねぇよ!!お前は負けたんだからな!!」

「はい。何度生まれ変わっても分かりました。」
相変わらずの穏やかに笑うイエスマン湊の受け答えだった。




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