素直にさせないで





「本当に不破君ってららちゃん大好きだよね。」


「やめてよ!!気持ち悪い!!私、バカは身の毛がよだつほど大嫌いなのに!!」
クラスメイトの女の子の改まった言葉に身体に拒絶反応が起こり鳥肌を押さえると、

「昔、先生に頼まれて、一度勉強教えただけで勘違いしてそれからずっと勘違いしてるの?」
「そう!本当にいい迷惑!」


あれは、小4の春。
何度思い出しても悔やんでしまう。

アイツがバスケの大会が続いた上に、体調を崩して1ヶ月程学校を休んでいた時に、近所のよしみで勉強を教えてあげたという…間違いが起こったのだ。


「あのバカ、勉強を教えていた私になんて言ったと思う?」

あの瞬間、私の平和な毎日が狂わされたに違いない。
思い出しただけでぞっとする程おぞましい。


「“お前、こんなに優しくして面倒見よくして、正直に言えよ。この俺様が好きなんだろ?”」


「うわ・・・。凄い自信家・・。」
さすがのクラスメイトの友達も苦笑いを浮かべている。

「でもさー、バカだけど、バスケで凄いんでしょ?不破君って。」
「そうそう!だってうちの小学校のミニバス愛知県大会優勝してるし、しかもそのエースだし!意外とモテてるし、そんな人から言い寄られるなんて」

「私は、いくらスポーツが出来てもあんなバカは大嫌い!!」
友人達の言葉を一刀両断。私はすみやかにアイツとのおぞましい可能性話を全否定した。

「それに来年には私は、名門の名古屋大学附属女子に入学するしね!あのバカともこの一年でお別れなんだから。」






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