素直にさせないで
「ららちゃん!受験票持った!?」
「大丈夫!持ったよ!」
受験当日の朝、私は家から出てくると心配そうに見守るお母さんに手を振った。
「行ってきまーすっ!」
二日間、学校を休んでみっちり勉強して、病気もなく今日という日を迎えた。
かじかむ手を必死に手袋の上から吐息で温めながら名古屋駅に余裕を持って到着すると大学行きのバスに乗り込んだ。
そこには、名古屋大の制服を着た煌めく女子達が乗っていて、
うわ、可愛い…。制服も可愛くてお嬢様学校なだけあって品もあって熱い羨望の眼差しで見つめた。
私も春からここに…と思うとワクワク感しか胸の中から湧き上がらなかった。
『名古屋大付属女子中学前ー』
バスのアナウンスが流れ扉が開くと、余裕を持って出たがわりとたくさんの受験生達が降りてきた。
「え…なに男…」
「顔真っ赤…怖、変質者…?」
降り立つと、女子達が何やら指差して声を潜めている。
キョロキョロしながら落ちつきなさそうにバス停の前で座り込んでそこにいたのは…、
不破だ。