素直にさせないで
「まさか・・・ららと同中に入学するとはなぁー。」
「瑠菜・・・。だから喧嘩売ってる?」
ありふれた真新しいセーラー服を見に纏い、新しい顔ぶれと、馴染みのない校舎を歩きこれから始まる中学校生活に心弾ませているはずが・・
私の足取りは最強に重い・・・。
「あはは。売ってないって。私はららと一緒にここに入学できて嬉しいもーん!不破サンキューって感じ!」
ピク・・・。
その名前に過敏に反応して一気に顔色が曇る。
私の人生を存分に狂わせた男だからだ。
「これでクラスまでアイツと同じだったら、ここで首つって死にたい・・・。」
楽しそうに賑わうクラス発表のボードへ息を飲みながら恐る恐る見に行くと、
「わっ!らら!!私達同じクラスだよ!!ラッキー!!」
飛び跳ねて喜ぶ瑠菜が私に笑顔を向けるも・・、私はまず自分の名前のあるクラスの男子の部分を目を凝らして読み上げてく。
「ちょっ・・・ららっ・・」
ひきつった顔で見られているのもお構い無しに、
「橋本準…平井壮太…平野昌平…不…っ!!!」
そこには確かに不吉の不の字が・・・
あいうえお順に書かれたボードの文字に全身の血の気が引いていった・・・
「不不不っ…」
「相変わらず震えるほど、この俺様が愛しいのか?お前は。」
私の真後ろからけたましいその声が響き渡った・・・。
片方の口角を上げて腕を組み、周りを威嚇しながらやってきたのは、
不破だ。