素直にさせないで
「あれ?新川さん、なんでここに…」
同じクラスには、塾で同じだった子がいたので不思議そうな顔で訪ねてくる。
「うん、まぁちょっとね。」
私は面倒くさそうに言葉を濁すと、
「落ちたんじゃない?」
「えー。悲惨。あんだけ私は名古屋女子行くからって風吹かせてたのにー」
小声でもヒソヒソ話に地獄耳の私は我慢ならず、
「違う!!落ちるわけないでしょ!私は」
「はっきり言えよ!らら、この俺様を追いかけてきたってな。みんなの前で言ってみろ!!」
ふふんっと偉そうに早くもクラスを支配するかのように教壇の上に座り、子分達を集めてこちらを見て私の片方の上履きを振り回してる。
「「え…」」
新しいクラスメート達には、この不破の態度には免疫がないため、驚きの声をあげている故、もちろんこれを事実だと受け止めてしまう恐れに、
「私の上履き!返し」と、いいかけた瞬間、
「分かるよ!新川さん!」
女子達が一斉に目を輝かせて立ち上がった。
「「不破君かっこいいもんね!!」」
「は・・・・?!」
まさかの返しに開いた口が塞がらない・・・。