泣きたがりのブルー
「イッサ、イッサはこころが痛いときどこでガス抜きをする?」
「毒を追っ払う方法?」
「そうだよ」
「滑り台にのぼって、バンザイをして一思いに降りる」
「それだけ?」
「そのあと、モニカちゃんとお話をするよ」
イッサはそういう子だった。
男の子だけどとても綺麗な顔をしていて、幼い頃なんて女の子に何度も何度も間違えられた。モニカな私は、そばかすがあるんだ。赤い毛はパパ譲り、蹴って、跳ねて、蹴って、跳ねて。
そうこうしていると、隣のブランコにイッサが座った。私と反対方向を向いて、同じように風に身を委ねている。
手短で緩やかな怠惰。私、ブランコが好きなの。このずっと、持ち手の鎖を持っていたら手が錆臭くなるでしょう。揺られている間、いのちのゆりかごに乗っかっているみたいでしょう。世界がくらくらと揺れるでしょう。
その不安定さが、とてもすき。
前後ろを繰り返しているただの躍動に、人が焦がれるのはそれが故郷だからだよ、この振動に身に覚えがあるんだよ。
「モニカちゃん、ブランコはすきかい」
「うん、イッサは?」
「うん、好きだよ」
なんだか魂の洗濯に似てるよね、それは天使の羽になるのさ。翼を授かってこの上なく高く跳ぶ、ため息と透明な人間後退だ。