好きだった同級生に告白された
 本田くんが歌い終えるとカラオケの画面に点数が表示された。

「うーん九十三点か」

 自信があったらしく本田くんが苦い顔をする。だがそんな表情でも素敵なのだからイケメンはずるい。

「えーでも本田くん上手だったよ。あ、次は私の番ね」

 アップテンポの曲が始まり菊池さんが本田くんからマイクを受け取る。ステージに立った彼女は曲に合わせて身体をゆらゆらと揺らした。ステップを踏む足運びがとてもスムーズだ。踊り慣れているという感じがする。

 菊池さんのチョイスした曲は去年の紅白でも歌われた歌だ。綺麗な歌声で私たちを魅了しようとする菊池さんはそのアイドルグループのセンターを任されてもおかしくないほどの可愛さがあった。

 加藤くんがまたもワンテンポ送れて合いの手を入れる。それに釣られたのか本田くんのテンポも少しずつずれていった。

 あ、菊池さん歌いにくそう。

 にこやかだがその笑みはどこか引きつっていた。それでも可愛さを保っている菊池さんはやっぱり油断できない相手である。
 
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