砂糖づけのラブレター
帰る時間になり、私達はショッピングモールの出口に向かう。
新しく出来たお店を見渡しながら、私は一つのお店に目が止まり、思わず慧太の袖を掴んだ。
「慧太!あのお店入ろう!」
「あ?お前、門限あんだろ」
「ちょっと見るだけ!ほら、来て来て!」
私が入ったのはジュエリーショップ。
そこにはキラキラ輝く指輪やネックレスが並んでいた。
「遅くなると親にどやされるぞ」
「ちょっと見るだけだって!ほら!似合う?」
左手薬指に指輪をはめ、慧太に見せる。
「結婚指輪!慧太と私の!なんちゃって!きゃっ♡」
「…バカ言ってねぇで帰るぞ。」
慧太は呆れてお店を出て行き、私は慌てて後ろを追いかけた。
「もー、冗談でしょ!さっきの晴人君みたいに笑顔で突っ込んでよー!」
「……勝手にしろ」
慧太は一度振り向き一言言い放つとそのまま無言で歩き出した。
機嫌悪い…。
さっきのカフェの時からいつも以上に無言。
無表情でわかりにくいけど、纏うオーラが禍々しくて雰囲気を変えようと明るくしてもこれ…。
彼女だから慧太が何も言わなくても理解出来るようになりたい。
エスパーじゃないからそんな事難しいってわかってるけど、慧太の彼女にふさわしくなりたいのに…。
「彼女って難しいな…」
慧太に家まで送ってもらい、「今日はありがとう」って連絡を入れた後私はベッドに寝っ転がり腕を広げて天井を見つめて呟いた。