砂糖づけのラブレター
「…何してんの、お前。」
やっぱり…。
慧太のバイト先は先日一緒に来たカフェだった。
「えっと…(じゅるっ)」
やばいやばい、口から唾液が…っ!
だって、お店での慧太がカッコよすぎるから!!!
白のワイシャツの袖を七部丈程までまくり、その華奢だけど筋肉質な腕の筋もカッコイイし!
腰から付けている黒エプロンと黒のスラックスで身長の高い慧太のスタイルをより際立たせてるし!
何より、ずっと無表情なのに接客の最後にふと目尻を下げて「ありがとうございます。」なんて言っちゃったらそりゃ明日も明後日も来ちゃうよ!!
「なんか入り口に友達といたから連れて来た。俺のラテアート披露しようと思って」
「あっそ」と慧太は興味無さそうに仕事に戻ってしまった。
「二人ともカフェラテ飲める?」
「あ、はい。芹那ちゃん大丈夫?」
「うん」
「よし!じゃあ待っててな!」
晴人君は笑顔になるとお店の奥へと消えてしまった。
「で、あの人誰?ひなの知り合い?」
「慧太の中学までの同級生。こないだ慧太とここに来た時にたまたま働いてて少し喋ったくらいなんだけど…」
「へー、イケメンはまたイケメンを呼ぶんだねー」
芹那ちゃんは他のテーブルで注文をとっている慧太を見ながらお手拭きで手を拭いていた。
「じゃあ慧太君は彼の紹介でここで働く事になったんだね。解決解決!」
「でもその時、慧太働く気は無いって言ってたんだけど…」
なんでまた急に働こうと思ったのかな?
人が足りないって言ってたからかな…。
「おまたせ!」
トレーにマグカップ二つと銀色のカップを持って晴人君が現れた。
鼻歌を歌いながらそれらをテーブルの上に置く。
「今まだハートとリーフぐらいしか出来ないんだけど、せっかくなんで初お披露目!まだ他のお客さんには出してないから特別な!」
晴人君は薫り高いエスプレッソの入ったマグカップを持ち、ミルクをそれに注いでいく。
その姿が慧太に負けず劣らずカッコよくて、私も芹那ちゃんも少し見惚れてしまった。