砂糖づけのラブレター


お昼休み、学食で昼食を済ませた後教室に向かう廊下を歩いていると芹那ちゃんは大きく伸びをしながら話し出した。

「しかしさー、ひなが慧太君を好きになる気持ちはわかるよ。慧太君って顔もよければ頭も運動神経もいいし、背も高いしね」

「やだ〜っやっぱり??」

大好きな慧太が褒められるのが私は誰よりも嬉しい!

「ただね、分かんないのがその慧太君がなんでひなと付き合ってるのかってとこなんだよね」


「芹那ちゃん?私達友達だよね?」


その疑問は実は私も分からない。
慧太に一目惚れした私は、毎日毎日それはもう慧太が鬱陶しがるほどアタックし続け、誰の告白も受けない慧太に当たって砕けて散る覚悟でした一世一代の告白が何故か受け入れられてしまったのだ。



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「慧太君!!私と付き合って下さい!!」

「いいよ」

「へ!?」

「なに?やめとく?」

「や、やめないやめない!!よろしくお願いします!!」


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「まぁ正反対だからこそ、パズルのピースみたいにうまくハマるのかもね」

「芹那ちゃんいい事言う!」

えへへ、と照れ笑いする私の肩に前から来る女子生徒の肩が当たった。

「あ、ごめんなさ…」

「チッ、うざ…」

「うわ、慧太君の金魚のフンじゃん」

思いっきり舌打ちをされてしまった。
そしてその当たった女子生徒の友達であろう隣にいた女の子にも小声で金魚のフンと言われた。


「何あの子達!絶対ワザとだよ!ひな大丈夫?」

「芹那ちゃん…」

「どうした?どこか痛い?」

「慧太の金魚のフンって言ってた…」

「ああ…」と芹那ちゃんはぶつかった人達の後ろ姿を睨みつける。


「あの子達、たぶん慧太君のファンだよ。感じ悪いね。」

「慧太の…金魚の…フン…」

「ひな…」


顔を上げて私の背中をさすりながら心配する芹那ちゃんと目を合わせた。


「せめて忠犬って言ってほしいよね!?」

「え?怒るとこ、そこ?」

フンって…フンはひどいよ…っ!


「忠犬だったらまだ可愛いじゃんっ…!なのにフンって…ひどい!」

「あんたの怒りポイントがよくわからん」


芹那ちゃんはさすっていた手を止め私を置いて廊下を歩き出した。


「私ね、妬まれるのはしょうがないって思ってるんだよ。だって慧太ってすっごくカッコいいし」


「でもね、」と続けると先を歩いていた芹那ちゃんが振り向いた。


「妬まれても、嫌われても、私は慧太の彼女になれた事が何よりも嬉しいから全然痛くないんだ」


ニッコリ笑って言うと「やれやれ」とため息を吐いた芹那ちゃんが私と肩を組んだ。

「私はひなのそういうポジティブなとこ大好きだよっ」

「私も芹那ちゃん大好き!」


私達二人はニコニコしながら教室へと歩いた。



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