砂糖づけのラブレター


「ひなた、世界史の教科書貸して」

芹那ちゃんと教室で話していると隣のクラスである愛しの慧太が他クラスである私のクラスに何事も無く入って来て、他の人には目もくれず私の前に立っていた。


「け、慧太!ど、どどどどうしたの!?」

「世界史の教科書、貸して」

突然の訪問にドギマギしながらわたわたと鞄の中を探る。
鞄を探りながらクラスの女子がこちらをチラチラ見ているのに気付いた。


「慧太君はさ、ひなのどこが好きなの?」

「ちょ!ちょっと芹那ちゃん!」


突然質問する芹那ちゃんを顔を赤くしながら制止したが、私は期待の眼差しで慧太を見上げた。


「……わかんねぇ」


「なっ…」


慧太はそう言うと私の手から世界史の教科書を取り、「サンキュ」と一言言い残し教室を出て行ってしまった。


「…芹那ちゃん、私、慧太から愛されてないのかしら…」

「け、慧太君なりの照れ隠しだよ!元気出して!」


妬まれても嫌われても悪口を言われても痛くない。

ヘラヘラ笑っていられる。

だけどね、たまに不安になる。

愛をまっすぐ伝える私に対して、言葉の少ない慧太。

慧太の考えてることがわからなくてちゃんと言葉にして伝えて欲しいって思う時もある。

でもそんな事するようなタイプじゃないから、バカやって、大声で愛を伝えることで平気なフリをしてるんだ。




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