砂糖づけのラブレター


「げ、げーだは、私のことっ、ウザいって思うかもしれないけどっ…!毎日毎日思っでるもんっ!」

「…そりゃどーも。」

「ほんどだもんっ!」

「嘘だなんて言ってないだろ」


慧太は私の目の前まで歩き足を止める。
180cm程ある慧太は標準より身長の低い私を黙って見下ろしている。



「なに?情緒不安定なの?」

「女の子はねっ、一ヶ月に4回性格が変わる生き物なのっ!」

「そりゃ大変だな」

「だから優しくしてあげなきゃいけないのっ!」

「ふーん」


慧太は少し考えた後、片掌で私の両目を塞いだ。

目の前が真っ暗になり何事かと数回まばたきした瞬間、唇に柔らかな感触がした。

数秒置いた後、ちゅっというリップ音が鳴り私の視界は明るくなる。


「………。」

「………。」

「………。」

「……へ?」

「帰るぞ。」

スタスタと慧太は先を歩く。

「え、あの、今のって…」

目の前は暗くて何が起きてるかわからなかった。
わからなかったけど、明らかに今のは…。


「き、キスした!?」

「………。」

「ねぇ、慧太!今私達キスしたよね!?」

「………。」

「やっぱりそうなの!?慧太って図星の時、絶対黙るよね!?えー!うそー!やだー!恥ずかしい!!急に恥ずかしくなってきた!!待って待って!!私ファーストキスだったんだけど!!どうしよ!!け、けけけ慧太とっ、き、ききききキスなんてっ…!ねぇ慧太!もう一回…っ!次はちゃんと目開けて…っ」

「お前はマジで黙ってろ」

私の頭を鷲掴みしながら目を細めて言った慧太の一言に私はすぐさま口を閉じた。


「…ぁ!」

「………。」


数秒見つめ合っていたので、これはもう一度キスのチャンスかと思い目を閉じて慧太の唇を待ち構えているとおデコに鈍い痛みが走った。


「ぃっ…たぁ!!デコピンしたでしょ!」

「お前がアホ面してるからだろ」

「アホ面じゃない!キス顔!」

「どっちでもいい。行くぞ」

今度こそ私を置いていく勢いだったので慧太を追いかけ、腕を組んだ。

ニッコリと見上げると慧太は私の顔を見て溜息をつくと何事も無かったかのように前を向いて歩いた。


「慧太ってさ、意外に私のこと大好きだったりする?」

「………。」

あ、黙ってる…。


「私のどこが好きかわからないって言ってたくせに…」

「………。」

「…わからない?」

「わかんねぇ」

「そっか」とそれ以上追求せず、ぎゅっと慧太の腕を抱き込んだ。









「ありすぎてわかんねぇ」

「え?」

「………。」

「ありすぎるの!?え、あるの!?好きなとこ!私の!」

「………。」


表情を崩さず黙り込む慧太に私は自然と顔が綻んでいく。


「ふふふ、慧太だーいすきっ!!」

「わかったから離れろ。歩きにくい。」


絶対離してあげないもんねっ!



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