砂糖づけのラブレター


「へー、慧太君ってそんな可愛いとこあるんだね」

「ふふふ、彼女の特権♪」


教室移動の為、芹那ちゃんと廊下を歩きながら先日の出来事を思い出していた。


「まぁそれ聞いて安心したわ。あ、噂をすれば…」

芹那ちゃんが指をさすと前から体操服を着た慧太が歩いてきた。

「あ、慧太!!」

私は喜びのあまり飛びつこうとすると片手で頭を抑えられた。


「なんで!?私、彼女!」

「おい、これ何だ。」

慧太が見せたのは先日貸してくれたタオル。
綺麗に洗って私の大好きな柔軟剤で最上級にふわっふわに仕上げて今朝渡したものだ。


「慧太に借りたタオル」

「それは見りゃわかる。これは何だって言ってんだ。」


芹那ちゃんは慧太の持つタオルを広げた。


「I❤︎KEITA…。何これ、さぶっ」

芹那ちゃんはゾッとした顔をしながら自分の二の腕をさすった。


「いや、これは…貸してもらったお返しに慧太への想いを形に残そうと…」

「勝手に刺繍なんてすんじゃねぇ。お前のせいで笑い者だろうが」

「これは慧太君可哀想ね…」と芹那ちゃんも同情してる。
せっかく私が夜なべして作ったのに。


「今日の放課後、新しいの買いに行くぞ。」

「え!?そ、それって…!」

「お前、半分出せよ。」

「ぜ、全額出させて頂きます!!」


慧太は目を細めて体育の授業へ行ってしまった。
なんだかんだあのタオル使ってくれるんだ…。


それよりも…。

「芹那ちゃん聞いた!?慧太から放課後デートのお誘いー!」

「デートのお誘いっていうか、ひなのせいで新しいタオル買いに行かなくちゃいけなくなっただけでは…」

「放課後楽しみだな〜♪」

「全く聞いてないな、コイツ」


今日も晴天!
慧太への想いは今日も変わらずまっすぐ空へと突き抜ける!!




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