自分の恋より、他人の恋
頬を赤らめて、恥かしそうに胸の前で手を握って、クリクリした目で時雨さんを熱く見つめて、小さくて桜色の可愛らしい口が動いた。
「時雨先輩が、好きなんですっ」
勇気を振り絞った、告白が私の耳にも___心にも響いた。
右手で思わず胸をギュッと軋んだ気がした。
どうしてそうしているのか、どうしてこんな気持ちを抱くのかが全然分からない。
ただ、分かるのは…。
「…胸が、痛い」
そして、何故か悲しくなんてないはずなのに一粒…雫が頬を伝った。
何故だろう、胸が痛むんだ。