自分の恋より、他人の恋



優しい表情で聞いてきた彼に小さく頷けば、満足そうに口角を上げて教室を後にした。



隣を歩くことがちょっと恥ずかしい私は一歩後ろを歩いている私。




目の前に見えるのは大きな背中、高い身長、綺麗な一回り大きな手、それから痛みを感じさせない綺麗なシルバーアッシュ。




光の当たり方によって輝き方が違う彼の髪は、窓の外にある大きな空が茜色に染まるように、少し赤いようなオレンジのような色に見える。



それでも綺麗だし美しいって思う、触れてみたいとさえ思って伸ばしかけた手を引っ込めた。



なら、もっと見たいと後ろを歩いていたのに早歩きで左隣に並ぶと、整った顔を拝んだ。




くっきりとした二重に切れ長の目、筋の通った鼻に薄すぎず熱すぎない絶妙な唇、それから長い首に第二ボタンまで開いているせいで見えるエロティックな鎖骨。



シャツが揺れるたびに見えるのは鎖骨の下にあるホクロで、それが色気を倍増させている。



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