自分の恋より、他人の恋



あ、また目逸らした。
でも、私は負けじとまた覗き込んだ。




「ダメでした?」




小首を傾げてみれば長い前髪が横に流れ、いつもはあまりでない目が晒された。


視界がクリアになっていつもよりよく時雨さんのことが見れる。

本当端整な顔してるなぁ…羨ましい。




「ダメじゃないけど、」


「けど?」


「小夜が俺の事見るなら、俺も見ていいわけ?」


赤くなっていたと思ったら今度は私が攻撃を受ける羽目に。


おっと、そうくるか。でも、別に減るものでもないし。




「別にいいですよ」




さぁ、どうぞ好きに見てくださいと言わんばかりに時雨さんの前に立つと驚いたような顔をした彼が視界に映った。



こういう表情をする彼も可愛くて好きなんだよね。



さぁどうぞという体勢の私に対し、時雨さんは動かずじまいで、さっきの言葉は冗談だったのかと思い始めた。




「時雨さん、冗談なら私帰り____え、」




特別何かをしてくる様子もなかったので、それなら帰ろうと思い彼に途中まで言いかけた時、時雨さんの手が私の前髪に掛かった。


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