自分の恋より、他人の恋
何も心当たりないのにいきなり説明しろだの、どういう事だの言われても俺が困惑するだけなんだけど。
俺が困惑しているのに気付いたのか、1人の女子が他の女子を止めると心を落ち着かせて穴が開くくらい俺を見ながらその口を開いた。
「昨日、この子が見たんだよ」
「何を?」
「っ、何をって時雨がみだれの膝の上で寝ているのをだよ!」
「…っ」
まさかの言葉に息を飲んだ。
だけど、彼女の言葉はそれだけじゃ止まらない。
「しかも、寝ているアンタの髪を優しく撫でてるみだれのことも見たんだってさ!」
___え、今なんて…俺の聞き間違えでも幻聴でもなければ。
「もう一回言って」
「は!?なんで」
「いいから」
「…っ寝ているアンタの髪をみだれが優しく撫でてたの!」
___…小夜が、俺に触れていた。
「嘘だろっ…」
驚きのあまりそれ以外に言葉が出てこず、嬉しさのあまり口角が上がりそうになったので慌てて手で口元を覆って隠し防いだ。