自分の恋より、他人の恋
「ふざけ___」
ふざけんな、そう言おうとした時教室の外がザワザワと騒ぎだした。
何だろうと耳を傾ければ聞こえてくるのは男の鼻の下が伸びたようなデレデレした声で、「やべ、死ぬほど可愛くね?」「足がエロい」「あんな子いなかったよな?」と言うような言葉ばかり。
誰か転校でもしてきたのかと思ったけど、転校してくる話を誰一人として知らないってのはおかしな話だし噂くらいはされる。
記憶を辿ってみてもなかったことから転校生の線は消える。
なら誰だ?
「綺麗な長い黒髪は美人の証ってか」
「ホントだよなー、あの髪に触ってみてぇ」
「てかあんな腰まで長い髪もこの学校じゃ珍しいよな、マジで誰なんだろうな」