自分の恋より、他人の恋
美人、綺麗な長い黒髪、珍しい、誰もその女を見たことがない。
たったそれだけの条件だけど、それだけで大体誰だか分かってしまった。
「退いて、邪魔」
「は?何、どこ行くの!?」
「そうだよ、話しはまだ終わってな___」
制服をグイグイ引っ張る女子たちにうんざりして大きな溜め息を吐けば、一瞬掴まれた手の力が弱まった隙を見て彼女たちの手を軽く払ってから廊下に出た。
「…っ、」
視界に入ったその姿に、息を飲むなんてレベルじゃない。
周りの誰をも魅了するその姿に、また俺も愛しくて会いたいと思っていたその人物に魅了されていた。