自分の恋より、他人の恋
周りの目が気になって仕方ないのか、少しおびえた様子できょろきょろ目を泳がすその姿さえも可愛い。
「…ぁ」
きょろきょろ泳がしていたそのクリクリした瞳が俺を捕らえると、不安が取り除かれたように目を輝かせてちょこちょこ小走りしながら俺へと近づいてきた。
あぁダメだ、その姿さえ可愛すぎて俺どうにかなりそう。
目の前まで来た彼女は上目づかいで俺を見つめると胸の前でグッと手を合わせて深く息を吸った。
何かを言おうとして迷っているのか、緊張しているのか…どちらにせよ今の姿が可愛すぎてなんでもいい。
「時雨さん」
「何?」