自分の恋より、他人の恋
本当、男って生き物は好きな子をいじめたくなるよね。
「もう、言う事なんてっ…」
「あるよ」
「……っ」
「言って」
無理矢理とも言える俺の言葉に、懇願するような潤んだ瞳を向けてくる小夜に胸キュンしつつも言わせたいという思いは変わらない。
「狡いっ…」
「俺は狡いし、我儘だよ」
男ってそういう生き物だから。
男を知らない小夜にとってはこういう時のかわし方とかもきっと知らない。
だからこそそこに付け込んで、ここぞとばかりに俺は小夜からの言葉を求める。
後で俺も負けないくらい言うけどね。
そしたら小夜はまた戸惑うんだろうな。
「言って」
「分かり、ました…」
ようやくいうと決めた小夜は俺と向かい合って視線を絡ませ合う。
色っぽく熱っぽいその瞳に飲みこまれそうになりながらも、必死に耐えて小夜の言葉を待つ。