自分の恋より、他人の恋
処女だけど、と言い返せば「だからそういうとこだよ」とどういう所か分からないけど指摘された。
「そんなんじゃ今後も彼氏できないぞ」
「あー…それなら別にいいです」
「は?」
「だって自分の恋とかどうでもいいですから」
女としてこの発言は自分でもどうかとは思うけど、それでも私は自分の恋はどうでもいいって前々から思ってる。
青春なんて謳歌しなくていいやって。
周りの見てるだけでお腹いっぱいだしね。
「自分の恋より、他人の恋」
「何それ」
「他人の恋ほど面白いものはないですから」
そう笑って告げると同時に鐘が鳴り、明日から冬休みだということを知らせた。
私も教室に戻らなければと腰を上げて出口へと向かおうとして…時雨翔和を振り返って見た。
「話ができてよかったです。それじゃあ新学期にまた」
はたして私と彼に“また”があるかどうか分からないけど、あればいいかななんて思ってそう言ってその場を後にした。
家に帰ってからイケメンと話しちゃったなんて、彼との会話を思い出していた私。
それが私と時雨翔和という男との出会いだった。