自分の恋より、他人の恋
その隙に私は隣の教室にいる2人を観察する。
はぁ…時雨さんのせいで犬と猫になる瞬間が見れなかったのは残念、だけど今日は驚いたことに…。
「猫のリンノさんが…珍しく甘えてる」
ショウヘイさんに膝枕してもらって頭も撫でてもらって、気持ちよさそうに頬をすりすりしている。
うっわぁー、あの安心して緩みきった顔がイイ。
何あれ可愛すぎ、狡い、反則でしょ。私が膝枕してあげたいくらいだ。
いやいやそれじゃあ観察にならない。でも珍しいものが見れたから良しとしよう。
今日もまた、私の心はホクホクになった。
鞄を肩にかけて帰ろうと立ったら、
「何してるんですか」
時雨さんがさっきと同じ体勢、同じ表情で固まったままだったから声を掛けてあげなきゃなって思って掛けた。
はぁ…と息を吐いてかしゃがみ込んで同じ目線に合わせると瞬きを数回したから大丈夫なようだ。
「帰らないなら置いていきますよ」
「あ…うん、帰る」
何だろう、彼の様子がおかしい。
ゆらりと立ち上がって一緒に校舎を出たけどその間も会話はない。
大人しいというか、心ここにあらずって感じ。
もしかして私がキスしたせい?いやいや、そんなまさかあり得ないって。