自分の恋より、他人の恋
「あ、サヨナラっていうの忘れた」
でも、また明日も会うだろうしいいや。
「今日のご飯は何かな」
さっきまで時雨さんのことを考えていたのに切り替えが早いのか、彼のことにさほど興味がないのか、私はその日の晩御飯のことを考えながら帰路を辿った。
その頃、校門前に取り残された時雨翔和はというと…
「…っはぁ…ノーカンにできるわけないだろ…」
しゃがみ込んで頭を抱えていた。そんなこと既に帰ってしまった私が知ることはない。