自分の恋より、他人の恋
だから私は協力を依頼した。
「なぁなぁ翔和、今日暇?カラオケ行かね?」
「は?行かねーよ」
時雨さんとよく話しているクラスの男子に、時雨さんを教室から出さないよう止めてくださいとお願いをしていたのだ。
見事成功しているおかげで、私は彼の腕を両手で捕まえた。
「時雨さん、確保です」
ニヤリ口角を上げると時雨さんはしまったというような顔をしてから、逃げられないと悟ったのか諦めたように息を吐いた。
「お話お聞かせ願いましょうか」