自分の恋より、他人の恋
だって、それに…。
「それに、あの時していなかったらきっとファーストキスを済ませずに人生終わりそうでしたので」
むしろラッキーなんじゃ?て今思うよ。
「あのさ、アンタ自分の事人より低く評価してるけど」
「はい」
「アンタの恋は他人のものよりそんなに軽いわけ?」
私の恋が他人のものよりも軽い、か。
天平にかけてみたら、きっと私の恋は羽のように軽いに決まっている。
「ならさ、」
真剣な目つきで私だけを見つめる時雨さんから目が逸らせない。
逸らしたらダメだと言われているような気がしてならない。
何を言われるのか、ゴクリと唾を飲み込んで彼の言葉を待った。
「本当に他人の恋がいいか俺で試してみるか?」
「へ?」
何言ってるんだ。これは本気なの?