自分の恋より、他人の恋
彼女と友人の前だけ素を見せるため、今のトシヤに弱々しさも何もない。
「あのさ、乱 小夜って女子知ってるか?」
少し恥ずかしそうに話しだした翔和にショウヘイが「あぁ、乱って“みだれ”?」と小夜の例のあだ名を口にした。
それを聞いて嫌そうに顔を歪めた翔和をヨウタは見逃さなかった。
「なるほど。好意を抱いているわけか」
「ヨウタお前、」
「だって、そうだろ?お前の口から女の名前が出てくるなんて珍しい」
淡々と言うヨウタに「てか小学生以来?」なんて被せて言ってくるショウヘイ。
そう次々言われて、もう認めざる負えない状況になった。