自分の恋より、他人の恋
でも、面白いし一緒にいて楽しいと感じていたから本当の姿があんまり可愛くなかったら…と考えたこともなかった。
そもそも顔なんてあの長い前髪で見えなかったし。
そんなある日、偶々見てしまったのだ___小夜の素顔を。
「朝怠かったから保健室に行ったんだ。そしたら小夜がいてさ、制服姿じゃなくてジャージに着替えてて『前日の雨でできた水溜りの隣歩いてたら運悪くトラックが通って上から下までずぶ濡れ』て言ってさ、そのとき長い前髪が邪魔だったのか掻き上げたんだ」
その瞬間ゴクリ…3人が息を飲む音が聞こえるくらい部屋は静かになった。
「…息を飲むくらい綺麗だったんだ」
長い前髪によって隠れていた、くっきり二重のアーモンドアイ。形の整った眉。筋の通った鼻。
息が漏れる唇はふっくらとしていて桜色に色づいて誘うような口元だった。