自分の恋より、他人の恋

お誘い




はて、何故こうなっているのか自分でもいまいち分からない。


今はお昼時間で中庭のベンチに腰掛ける私。


今日も誰かを観察に行くはずが目の前に現れたこの男によってそれは無理になり、話したいことがあると言われて話を聞けば誘われてしまった。




「聞いてる?」


「あぁ、聞いてますよ」


「だから、今度の土曜出掛けない?って言ってんだけど」




この台詞を時雨さんの口から聞くのは本日で二度目だ。


一度目はほんの数十秒前に聞いた。


よく分からないけど、これは多分“デート”というやつに誘っているに違いない。




「なんで私なんですか?」


< 76 / 178 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop