自分の恋より、他人の恋
「別に減るもんじゃないからいいだろ…」
そう言われたら確かに減るもんじゃないから構わないんだけど。
それに「もう何回も寝てる」と呟かれては言い返す言葉もない。
既に数回押しに負けてこの膝の上で寝ることを許してしまってるんだ、今更ダメだと言っても遅いか…と時雨さんに膝を貸した。
私の膝の上に乗るシルバーアッシュの髪。
ダメージを感じない髪に触れて優しく撫でてあげるとちょっとしたら一定の呼吸音が聞こえてきて眠ったんだと確認ができた。
シルバーアッシュが太陽の光に反射して宝石のようにきらきらと輝いている。髪だけじゃない、彼の…時雨さんの存在自体がキラキラしていて私の隣にいることが、こうして膝の上で寝ていることが奇跡のようなんだと胸がキュッと締め付けられるような気がした。
なんだろ、これ。