自分の恋より、他人の恋



こんな感覚は生まれて初めてだ。


生まれて初めて感じたその感覚に、私は少なからず戸惑っていた。



幼いころからずっと人の顔色を伺って生きて、それで人間観察が趣味になって恋なんてとうの昔に置いてきた。



だから人を好きになるなんて感覚を感じたことがないから、好きになるってどういう風になるんだろうと興味はある___けど恋をしようとは思わない。




それは観察だけで十分。


観察だけでドキドキしてるからそれで十分だ。


それが私にとっての疑似恋愛で、だから余計に恋なんていいと思ってしまう。



___嗚呼、でも彼に恋人が出来て傍から離れていくのを想像したら胸が苦しくなって寂しくて悲しい…そんな感情が湧きだす。




「……翔和さん」



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