自分の恋より、他人の恋
「何をやっているんだ私…」
「どうした?」
「へっ?ぇ、ぁ、何がですか」
「何って、ボーっとしてたから」
私の心配をしてくれているようだけど、時雨さんのことを考えていたなんて本当のことを言えるはずもない。
別に、と平常心を保ちながら返事をしておいたけど、不自然じゃなかったかなとかソワソワするわけで…その後、チラチラ時雨さんの様子を伺ってしまっていた。
「もう遅いし帰るか」
そう彼に言われ、腕時計を確認するともう午後8時を過ぎようとしていて、かれこれ5時間以上も時雨さんと一緒にいたのかと知った。
時間を忘れてこんなに遊んでしまうなんて、今日の私おかしい。