自分の恋より、他人の恋
え……ぁ、そうだよね。
やっぱり私なんかと出掛けて楽しいって思う方が難しいんだ。
___あれ、私何を“期待”していた?
私が楽しかったと感じたから、きっと彼も楽しかったんじゃないかって勝手に思ってた。
…馬鹿な私。彼がそんな事、言うはずがないのに。
「___なんて言うと思った?」
「え……」
「え!?うわ、ごめん。泣かせるつもりはなかった」
伸びてきた手が私の目の下に触れて零れ落ちた水滴を、綺麗な指が拭った。
温かくて、心地がいい手…そんな風にふと思った。