金曜日の恋人〜花屋の彼と薔薇になれない私〜
「うん。もう十分、満たしてもらったから」
「そっか、わかった」
「それじゃあね」

 あえて、さらりと告げると芳乃は彼に背を向けた。湿っぽい別れは自分達には必要ない。

「芳乃さんっ」

 歩き出していた芳乃の腕を霧斗が引いた。振り返った芳乃の唇を彼が強引に奪った。

 悪戯な顔で彼は笑う。

「これは、今日の分の報酬ってことで」

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