七色の魔法使い#5~不滅の愛を詩に乗せて~
『……久しぶりだな。そこの濃い青色のやつ』

ドスの利いた声でそう言いながら、妖魔はアイビーを見つめた。

「……え?」

アイビーに目を移すと、アイビーは表情を変えることなく無言で妖魔を見つめている。

「……そうですね。でも、見たくなかったなぁ……あなたの姿」

怒りのこもった声で、アイビーは言った。アイビーは無表情で、いつものアイビーじゃないような気がした。

『かけがえのない人を失って、どんな気分だ?』

「……」

その言葉を聞いて、アイビーは俯く。……かけがえのない人……?

『可哀想に……辛かろう……俺が慰めてやろうか?』

「……あなたに、何が分かるんですか……」

ゆっくりとアイビーは顔を上げた。アイビーの目には、涙が溜まってる。

「何が分かるの!?元はと言えばっ!!」

そう言って、アイビーは妖魔に向かって走っていった。

「……っ!」

僕は、アイビーと妖魔の戦闘をその場で見ている……いや、見ていることしか出来ないんだ。

「ねぇ!返してよ。僕に、名前をくれた……大切なあの人を!!」

アイビーは、いつもとは違う口調でそう言いながら妖魔に斬りかかる。

「……っ」
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