七色の魔法使い#5~不滅の愛を詩に乗せて~
アイビーは妖魔に吹き飛ばされて、柵に叩きつけられた。

「アイビー……っ!」

アイビーに近寄ろうとすると、妖魔は僕に飛びかかってくる。妖魔の爪と僕の刀がぶつかる音がした。

「……っ!」

急に妖魔が吹き飛んで、妖魔は体勢を整えると地面に着地する。

妖魔の視線を辿って空を見てみると、空には黒髪に赤目の……見覚えのある男の子が、赤い柄の刀を肩に乗せた状態で浮かんでいた。

「……凛兄……?」

凛兄は地面に着地すると、肩に乗せていた刀を下ろして僕に微笑む。

「……久しぶりだな。冬都……アイビー」

立ち上がっていたアイビーに顔を向けると、アイビーは驚いた顔で凛兄を見つめていた。

「……凛都(りんと)……」

「……話は後だ。とりあえず……今は、目の前の敵に集中しろ」

凛兄は妖魔と向き合って、刀を構える。僕とアイビーは、顔を見合わせると頷いた。そして僕は刀を構えて、アイビーは剣を弓に変えて矢を番える。

「……行くぞ!」

凛兄は僕らに向かってそう言うと、走り出した。

……あれ?凛兄の体力、衰えてない……もしかして、魔法で一時的に強化しているだけなのかな?

凛兄の後を追いかけながら、そんなことを考える。

……それを考えるのも後だ。とりあえず、今は目の前の妖魔に集中しなきゃ。
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