契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
はじまりの朝
二週間後の、六月に入って最初の月曜日の朝。カーテンの隙間から差し込む眩しい光に、ゆっくりと瞼を開く。
──今は何時なのだろう?
スマホで時刻を確認しようと手を伸ばしかけて、それができないことに気づく。
まただ……。
隣で寝ている大吾さんの腕が、背中側から私の身体に巻き付いている。もちろん両脚も彼脚に抱え込むように絡められていて、がんじがらめ状態だ。
私はいつから、抱き枕になったのかしら……。
なんて、クスッと笑みが零れてしまう。
二週間前の土曜日。思わぬことから組み敷かれ、彼と愛し合った。一度目のときのような寂しさや悲しみを埋めるだけとは違う、彼のことを想っていて抱かれたのは言うまでもない。
大吾さんがどう思っていたのかはわからないけれど、丁寧に優しく抱いてくれた彼から少なからず愛情を感じた。
今の関係が本物になればいいのに……そう思っているのは私だけ?
私の胸の前で交差されている、大吾さんの腕に手をそっと這わす。確かに鼓動と体温は感じるのに、彼の気持ちまではわからない。“好き”だと言ってもらえれば、それだけで安心できるのに……そう思うのは私のわがままだろうか。