契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
 気持ちいい……。
 
 甘い気持ちがこみ上げてきて、彼に身を預けそうになってしまう。でもほんのわずかな理性が、本来の私を呼び戻す。

 このまま流されてしまいたい──。

 そう思う自分に鞭打って、大吾さんの胸に手を当てグッと押し離した。

「だ、大吾さん、これ以上は……ダメです! さあ、支度しましょう……」
 
 息も絶え絶えにそう言うと、大吾さんは不本意だと言わんばかりに不機嫌な顔をする。

「そんな顔をしてると、朝食抜きにしますよ?」
「それは困るな。八重の手料理を食べないと、一日が始まらない」
 
 大吾さんは仕方なく私を解放すると、ベッドから起き上がる。こういうところは素直でかわいいと思ってしまうのは、惚れた弱みなのだろう。


 
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