契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
その日の晩。大吾さんと斎藤さんを見送り、ひとり帰宅の途につく。
明日からはバスに乗って出勤し、斎藤さんから任された仕事をすることになった。それに加え、新ブランドのために日本酒のことをより深く学べるようにと、恩田さんが本社に来られるよう手配してくれた。
だから、大吾さんがいなくても寂しくない。心配することなんてなにもない。そう思っていたのに、それから四日経った金曜日、私の胸を搔き乱すそれは突如訪れた。
「恩田さん、天海さん! ビックニュースですよ!」
そう興奮気味に会議室へ飛び込んできたのは、企画課の東さん。私より二歳年下でうわさ話やゴシップネタが大好きだけど、明るくて元気なとても頼りになる人だ。
でもこの興奮気味なのを見ると、また新しいスクープを手に入れたに違いない。
「東さんは、いつも元気だね。ビックニュースって、またなにか珍情報でも入ったのかい?」
恩田さんがからかったように言うと、東さんはぷぅと頬を膨らました。でも珍情報というのも、あながち間違いじゃないと思うのは私だけじゃないだろう。