契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました

「俺と八重の新婚生活を始めるには、うってつけの場所だ。すぐに業者を手配する、今週末に引っ越しだ」
「あ、今週末ですか？　そんな急に……」
　
　あまりの展開の速さに、思考能力が追いつかない。もしかしたら間違ったことをしたのかもと、不安げに大吾さんを見つめた。

「全部俺に任せておけば大丈夫だ、悪いようにはしない。あと近いうちに、そうだな、引っ越しが終わったら八重のご両親にも挨拶に行く」
「へ？」
　
　どうして偽装結婚なのに、私の両親に会いに行かなきゃいけないの？　本当に結婚するんじゃないのに、そこまでする必要あるのだろうか。
　
　話しがどんどん進んでいき、私の手の届かないところまで行ってしまう。今更嫌だとも言えないし、このまま大吾さんの言う通りにしておいたほうがいいのだろうけれど。
　
　本当に大丈夫なのか、心配になってきた。

「どこから話が漏れるかわからないからな。念には念をってやつだ。それに八重だって、あとからバレるより先に話しておいたほうがいいだろう？　それに、そのほうが親御さんも安心するだろうしな」