契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
 それ以外にもシアタールームやゲストルーム、室内プールにスポーツクラブ。マンションの最上階にはスカイラウンジまであって、住人ならどれも無料で使えると言うのだから、使い切れるのかしらと驚くしかない。

 大吾さんがこのマンションをふたりの生活の場に決めた最大のポイント、五段階の厳重なセキュリティーを通り抜け手を繋いだままエレベーターに乗り込んだ。

「今更だが、高いところは大丈夫か?」
 
 唐突にそう聞かれ、本当に今更だなと思いながらも「はい」と頷く。こんな超高層マンションに住んだことはないけれど、高いところは嫌いじゃない。

 でも大丈夫かなんて聞くということは……。

 何階かを示すモニターを見上げると、もうすでに四十階を越えている。

「大吾さん、私たちが暮らす部屋は何階ですか?」
 
 もうすでに高層部分なのは決定だが、念のために一応聞いておく。

「四十六階だ。住居スペースとしては、最上階だな」
「そう、ですか。四十六階……」
 
 そうボソッと呟いたのと同時に、エレベーターが目的の階に到着。



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