【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約

「辺境に城を構えるメアロード家が侍女を募集していてね、年齢は十六! それであんた冬生まれだろう?」
「はい、冬生まれです」
「それで、暗い色の髪! 背丈はあんたくらい! 気性が荒くなく! 働くことだけを好むような女!」

 紹介所の主が、ルネリアの条件に合った文言を発するたび、周囲は歓喜の声を上げていく。

「これを見たとき、真っ先にあんたに合うと思ったんだよ、それで待遇やら仕事内容なんて見ずに来ちまったんだけどさあ、まぁ侍女の仕事だろう? 辛いことなんて、雪が降って寒いのと王都への行き来が大変くらいなもんだけど、あっちはあっちで発展してるらしいからねえ」

 笑みを浮かべ、封筒からまた一枚一枚紙を取り出していく紹介所の主だが、次にめくった書類を見て、顔を青くした。その空気を敏感に察知した周囲は、揃えるように口を閉じる。
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