【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約
王家主催のパーティーによる婚約破棄と公爵家の令嬢への断罪劇から一月も持たずして、ハーミット男爵家は没落した。
元々ハーミット家は、領民による農作と工芸で税を納めている家で、後妻の娘、マリアの豪遊は貴族たちの顔を顰めるものであり、借金すらあった。
その母もドレスや宝石を、新しいものが出れば買い集めることを繰り返して、家を傾けることを生業としている……なんて噂されるほど。
さらにハーミット家の主である男爵は賭け事を好み、愛人を何人も作っていた。しかし三人とも、己の引き際というものは確かに知っており、没落するには至らなかった。
そんなハーミット家が没落したのは、偏にハーミット家の長子マリアが、この国の王太子と婚約を結ぼうとしたからだ。彼女は男爵家という身分でありながら、貴族であるならば誰しもが通う学園で王太子に近づき関係を持った揚げ句、王太子の婚約者である公爵令嬢に嫌がらせを受けたと謀り、王太子をけしかけた。