【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約

 だからルネリアの頼みを聞き、いざとなったとき、仕事を斡旋してもらえるよう、紹介所に頼むことはしたのだった。

 そして今日。とうとう屋敷を追い出されたルネリアは、着替えと少しの日用品だけを持ち、街の紹介所の門を叩いたのであった。



(どうしよう、働き口が全く見つからない……)

 街の使用人紹介所の片隅、不採用と記された希望先の異なる四枚の紙を前に、ルネリアは顔を真っ青にしていた。彼女が紹介所に訪れて一か月。職場は一向に決まらず、彼女はただ紹介所の掲示板の前に立ち、毎週貼られていく連絡先に志願して、断られるということを繰り返していた。

(住む場所が与えられていることは、まだ救いなのかもしれないけれど、いつまでもここに置いてもらうわけにはいかない……)

 紹介所の中は簡易のテーブルと椅子が方々に置かれ、誰でも書類の記入をし、その場で面談も出来るようになっている。住む場所もなくお金もないルネリアは、紹介所の閉じる晩、椅子を並べてはベッドの代わりにして、寝泊まりをしていた。
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