フェアリー・ロマンス~転生したら妖精の赤ちゃんに!?~

 まったく、ぐずらなかった訳ではないが。
昔退院したいと泣いて母親にせかんだ事があった。
 しかし母は、泣きながら私を抱き締めてきた。
「ごめんね……丈夫に産んであげられなくて」と言いながら……。

 まだ小さい子供だった私でも、この時の母親を見たらそれ以上は、何も言えなくなってしまった。
 ワガママを言ったらダメだと思った……。

 しかしこの身体に転生して、丈夫な身体になると
少しぐらいは、ワガママを言っても通るのでは?と思えてしまう。
 それぐらいに外の世界に行きたかった。
今、言わないと二度と行かせてもらえないような気がしてならない。

 シンは、やれやれとした表現をしながらチラッとルイを見る。するとルイは、ため息を吐いた。
 それにちょっとショックを受ける……。
 ダメなの?迷惑?
するとルイは、しゃがむと私の頭を撫でた。

「仕方がありませんねぇ……。
 なら私からキョウ様に行ってもいいかと聞いてきます。
 キョウ様の意見は、絶対なのでダメだと言われたら
私達でも止めようがありません。
 しかし、いいと言われたらその時は、堂々と参りましょう」

 キョウ様に……聞いたら?
それは、半分以上許可をくれるとは思えなかったが、私を宥めるつもりでそう言ったのだろう。
 私は、しゅんと落ち込みながら頷いた。
それなら仕方がないことだ。

 ルイが本家に居るキョウ様に聞きに行ってしまった。
私は、シンと一緒に待つ。
 するとしばらくして戻ってきた。

「どうだった?ダメだったのか?」

「いえ……キルア様には、小言を言われましたがキョウ様は、行っても良いと許可を頂けました。
 カレンの意思に任せると……」

「ま、マジかよ……!?キョウ様が、そんなことを?」

 シンは、ルイの意外な言葉に驚いていた。
もちろん私もだが……。えっ?行ってもいいの?
 キョウ様から、まさかの許可を頂いた。

 そういえば……私の信じる道を進めと言ってくれた。
それは、自分で考えて決めろってことなの?
 まるで私を試しているかのようにも感じて、複雑な気持ちになった。

「じゃあ、連れて行くけど……本当にいいのか?」

「はい。ですが心配なので、私も付き添うようにと言われました。
 私もそう思っていましたので同行させて頂きます」

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