悲しい夜は、何度だって君に会いに行く
刃物で作った生々しい傷が無数にある手で鍵とスマホだけ持ち、学校から帰ったままの制服で家を出た。


最後に時計を見た時、すでに日付けは変わろうとしていた。


こっそり家を抜け出して、適当なビルを選んで外階段を上った。


天気は大雨。


ついでに風も強い。


今日は5月の初めにしては気温が低いとニュースで言っていた。


傘もささずに歩いていたので冬のように寒い。


わたしは小刻みに震えながら、なんとか階段を登りきった。
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