最終列車が出るまで


 結婚・出産が周囲とずれたせいもあるかもしれないが、子供達が小五・小二と成長した今でも、同世代夫婦と比べてみれば仲はいい方だと思う。

 途中、家事・育児専念期間を含みながら、いくつかの仕事に就いた。

 今も勤めている会社には、逸美が小学校入学時からずっとお世話になっている。

 会社まで、愛車の軽自動車で片道五分(もかかっていないか)。一日三時間の経理事務補助の仕事。気付けば、すっかりベテランパートになっていた。

 愛しのダンナ様(という事にしておこう)の職場は、自動車の販売・修理等をしている。

 五年前、ダンナはある営業所の所長となった。四十代半ばでの所長への昇進はそんなに多くないと、同じ職場にいた頃、聞いた事があった。

 ダンナの帰宅時間が遅くなり、休日出勤が増えた。

 それほどお酒が強くないダンナだが、仕事関係の“付き合い”も増えた。

 責任のある立場だから……と、理解はしているつもり。

 私はちゃんとわかっている、はず。

 だけど……

 私と娘達、三人だけの時間が増えるのに比例して、“寂しさ”も募っていくようだった。

 私が話しかけても、ちゃんと聞いていない。私からの大事な連絡事項を聞き流されている事は、日常茶飯事だ。

ダンナにすれば私の話なんて、スルリと聞き流してもそんなに問題ないのだろう。

 まるで独り言を言っているようで、虚しさを感じる事も度々あった。

そんなちょっと寂しい私の気分転換の一つが、数少ない友人達との飲み会。

 職場の飲み会にも参加はするけど。ベテランパートのおばさんとして、節度をわきまえて参加している。



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