最終列車が出るまで
「よし、終わった」
アパートの狭いベランダに洗濯物を干し終わり、洗濯物の間で「う~ん」と伸びをした。
娘達の長い長い夏休みが終わって十日程が過ぎた。ようやく、私の日常が戻ってきたと感じられるようになった。
「今日も嫌味なぐらい、いい天気だなぁ」
白い雲がプカリと浮かぶ青空が見上げながら、そう呟く。“秋らしさ”は、まだまだどこにも感じられない。
小さく溜め息をついた後、「フフフ」と奇妙な笑いが溢れてしまう。
本日、金曜日の午後七時より、アラフォーグループの飲み会がある。
「生ビール日和、ですぞ」
心の中の呟きまで、溢れてしまった。
駅前のホテルに、夏場限定のビアホールができた。その割引券が手に入ったと、中野さんから召集がかかったのだ。
二月の飲み会の前に、一年以上間隔が開いたのが嘘のように、アラフォーグループの飲み会が続いた。
あの飲み会の後の三月に、アラフォーグループのメンバー井川さんが、県外へ引っ越す事となった。
ご主人の転勤が決まり、井川さんも着いていく事になったのだ。
お義父さんが一人になってしまうので、家族や親戚の中で何度か話し合いがあったそうだが。
転勤先が隣県で、わりと近かった事。最終的には「一人の方が気が楽」と言ってくれたお義父さんの言葉で、井川さんも着いていく事が決まった。
五月の連休に帰省する予定の井川さんと連絡を取り合い(中野さんが)、お店の予約のキャンセルもあったりして、(ちょっと大げさだけど)奇跡的にアラフォーグループの飲み会を、連休中に急遽開く事ができた。