最終列車が出るまで
そして、九月の今日の飲み会である。
よっ!中野さん、名幹事!!
前回の五月の飲み会で、私は再び最終列車に乗る事になった。
もともと入っていた予約がキャンセルになり、その後にアラフォーグループを入れてもらったので、開始時間が午後八時と遅めだった。八時から二時間、飲み放題付きのレディースプラン。
その事を聞いた時、フワリと心が舞い上がった。二時間の予約だと言っても、きっちりとその時間に終わる訳ではない。デザートをゆっくりいただいて、締めのおしゃべりをして。そんな風にしていると、最終の一本前の列車には間に合わなくなる。私が何かをしなくても、帰りは最終列車となるだろう。
二月の飲み会以降にJRのダイヤ改正があったが、最終列車の時刻も、その一本前の列車の時刻も、大きく変わる事はなかった。そして、その事にホッと息をついた私。
『あの時』から、あまり変わってほしくない。列車の時刻が大きく変わると、最終列車に乗らなくなる可能性だってあるかもしれないから。
そんな風に、無意識に考えていた私。いったい、誰の事を考えていたのだろう。何を期待して、いるのだろう。
僅かに息と胸を弾ませながら、最終列車に乗るために向かった駅。
そこに彼は、いなかった──
連休中のせいか、二月のあの日よりも人が多い。若い人達のにぎやかな声も聞こえる。暖かくなったからか、周辺の空気が明るく軽く感じる。
『若い人達』って。自分の思った事に苦笑する。無意識のうちに、自分の事を『オバサン』だと認めている。
確かにそうだ。私は『オバサン』だ。その事実に、特に抵抗しようと思っている訳じゃない。