一夜の奇跡は真実の愛を灯す~副社長の甘い誘惑に溺れて~
練習が始まって、龍聖君は、他の先生に呼ばれて走って行ってしまった。


こんな状況で1人になるのは…嫌だな…


ちょっと心細いよ。


とりあえず、私は1番後ろの端、周りに誰もいないベンチに腰掛けた。


なのに…


山科さんは、わざわざ私の隣に来て座った。


どうして?


お願い、来ないで…


離れて欲しい…


そう思わずにはいられなかった。


『大和先生…あなたのことが好きみたいね。それなら、付き合ってしまえば?あの時の会社の上司でもいいわ。とにかく…湊先生にだけは…近寄らないで』


この威圧感があり過ぎる言葉に、どんどん呼吸が苦しくなっていく。


『私…』


言葉に詰まる。


何を言えばいいの?


誰が好きだなんて…


情けないけど、自分が一番わからないのに…


私は思わず、叱られた子どものように唇を噛み締め、膝の上で両手を握りしめた。
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